X halfは楽しい撮影体験だが、操作の遅さやフォーカス確認の難しさが課題か

X half チャコールシルバー

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5月22日に富士フイルムから発表された「X half」(2025年6月下旬発売)。フィルムカメラのノスタルジーとデジタルの利便性を融合させる試みとして注目を集めています。このカメラは、コンパクトなボディにアナタログ撮影の魅力を再現するフィルムカメラモードや、多彩なフィルター効果を搭載し、遊び心のある撮影体験を提供します。

しかし、そのユニークな設計には、操作性や機能面での課題も存在しています。本記事では、X halfの良い点と悪い点、特長と課題をまとめ、どのようなユーザーにとって魅力的なカメラなのかを探ります。

本記事は、PetaPixelの記事を基に、内容を各項目に体系的にまとめたものです。

良い点と悪い点:X halfの全体像

良い点

  • コンパクトで美しいデザイン: 幅105.8mm、高さ64.3mm、質量約240g(バッテリー・カード含む)のポケッタブルなボディは、洗練された外観で持ち運びが容易。
  • アナログ体験の再現: フィルムカメラモードは、プレビュー無し、リワインドアニメーション、などにより、フィルム撮影のノスタルジーをデジタルで再現。
  • 豊富なフィルター効果: 13種類のシミュレーションモードやアドバンストフィルター(ライトリーク、ハレーションなど)が、遊び心のある撮影を可能にする。
  • 専用アプリの充実: コンタクトシート作成や2-in-1ショットの柔軟な編集で、アナタログの喜びを補完。
  • バッテリーの互換性: Xシリーズ共通のNP-W126Sバッテリーを採用し、約880枚の撮影が可能。

悪い点

  • タッチパネルの反応性: 2.4型タッチパネルの反応が遅く素早い操作で複数回の試行が必要
  • フラッシュの制限: LEDフラッシュはキセノン電球の美学を再現できず、コールドシューやPCシンクポートがない
  • ビデオ機能の限界: 1440×1080の準HD解像度、音声同期ズレ、55秒の録画制限で実用性が低い。
  • サムワインダーの操作性: 触覚フィードバックがなく、撮影直後の操作が登録されない場合がある。
  • フィルムモードの没入感不足: フォーカス確認の難しさやフィルター変更の制約が、アナタログ体験を一部損なう。

インターフェースと操作性:直感性と課題の両立

関連仕様

  • 液晶モニター: 2.4型タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター、アスペクト比4:3、約92万ドット
  • タッチパネルモード: 撮影時(フォーカスエリア選択、ダブルタップ拡大ON/OFF)、再生時(スワイプ、マルチタップ、ダブルタップ、ドラッグ)
  • フィルムシミュレーションモード: 13モード(PROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、ASTIA/ソフト、クラシッククローム、REALA ACE、クラシックネガ、ノスタルジックネガ、ETERNA/シネマ、ACROS、ACROS+Yeフィルター、ACROS+Rフィルター、ACROS+Gフィルター、セピア)
  • グレイン・エフェクト: 強度(強/弱/OFF)、粒度(大/小)
  • 美肌レベル: 強/中/弱/OFF

X halfのインターフェースは、フィルムカメラの直感性をデジタルで再現することを目指しています。スクロールホイールは、13種類のシミュレーションモード(例:クラシッククローム、プロビア、ACROS)をスムーズに切り替え、フィルムタブ表示が現在のモードを視覚的に示します。この設計は、例えば白黒撮影でのACROSモード選択時に、フィルムらしい質感を即座に確認できる点で優れています。グレイン・エフェクト(強/弱、大/小)や美肌レベル(強/中/弱)のカスタマイズも可能で、ヴィンテージ風の写真を簡単に作成できます。しかし、2.4型タッチパネルの反応性は課題で、素早いスワイプでは複数回の試行が必要。特にストリートフォトグラフィーやイベント撮影など、迅速な操作が求められる場面では、意図的なスワイプを意識する必要があり、ユーザーのストレスとなる可能性があります。この点は、現代のデジタルカメラに期待される即応性とのギャップを露呈しています。

バッテリーとストレージ:実用性と互換性の強み

関連仕様

  • バッテリー関連: 充電式バッテリーNP-W126S(リチウムイオンタイプ、付属)、静止画撮影可能枚数(ノーマルモード時:約880枚)、実撮影電池寿命(Full HD:約95分[24p時]、約85分[48p時]、顔検出OFF時)、連続撮影電池寿命(Full HD:約165分[24p時]、顔検出OFF時)
  • 記録メディア: SDメモリーカード(~2GB)、SDHCメモリーカード(~32GB)、SDXCメモリーカード(~2TB)、UHS-I対応
  • 起動時間: 約1.7秒

X halfのバッテリー性能は、Xシリーズ共通のNP-W126Sバッテリーを採用し、約880枚の静止画撮影を可能にします。この互換性は、Xシリーズユーザーが既存のバッテリーを活用できる点で大きな利点です。例えば、旅行中に予備バッテリーを共有することで、撮影の継続性が確保されます。記録メディアはシングルSDカードスロット(最大2TB、UHS-I対応)で、連写機能がないため高速カードは不要。この設計は、大量の写真を保存するカジュアルな撮影に適しています。ただし、起動時間は約1.7秒とやや遅く、カメラ全体の動作は「ゆっくりで慎重」を促します。これは、風景やポートレート撮影には適しているが、即時性が求められるスポーツや野生動物の撮影には不向きです。

オートフォーカスと撮影速度:基本性能と近接撮影の可能性

関連仕様

  • フォーカス: モード(シングルAF、コンティニュアスAF、MF[リング回転式])、名称(コントラストAF)、AFフレーム選択(シングルポイントAF、3×3のエリア選択、フォーカス枠サイズ固定)、顔検出/瞳AF(あり)
  • 最短撮影距離(レンズ先端から): 約0.1m
  • シャッタースピード: メカニカルシャッター(Pモード:1/4秒〜1/2000秒、Aモード:30秒〜1/2000秒、S/Mモード:15分~1/2000秒)
  • 撮像素子: 13.3mm×8.8mm(1インチサイズ)、原色フィルター採用、約1774万画素

オートフォーカスはコントラストAFを採用し、基本的な性能でフォーカスロックに時間がかかります。シングルAFでのフォーカスロックと再構図が標準的で、3×3の9点エリア選択は可能だが、ポイントが近接しているため柔軟性が限定的。顔・目検出機能は、家族写真やカジュアルなポートレートで信頼性が高く、被写体の表情を捉えるのに有効です。1インチセンサーと広角レンズ(f=10.8mm、35mm判換算約32mm、F2.8)により、最短10cmの近接撮影が可能で、花や小物のクローズアップに適しています。シャッタースピードは最大1/2000秒で、連写機能がないため、動きの速い被写体には不向きだが、じっくりとした撮影スタイルにマッチします。この特性は、静物やスナップショットに特化したカメラの意図を反映しています

マニュアルコントロール:創造性を引き出す柔軟性

関連仕様

  • 露出制御: P(プログラムAE)、A(絞り優先AE)、S(シャッタースピード優先AE)、M(マニュアル露出)
  • 露出補正: 静止画(-3.0EV~+3.0EV、1/3EVステップ)、動画(-2.0EV~+2.0EV、1/3EVステップ)
  • 撮影感度: 静止画(AUTO1/AUTO2/AUTO3、ISO200~12800[1/3ステップ])、動画(AUTO、ISO200~12800[1/3ステップ])
  • 絞り: F2.8~F11、1/3EVステップ(3枚羽根)
  • シャッター形式: レンズシャッター方式

X halfは、露出補正(-3.0EV~+3.0EV)、絞り(F2.8~F11)、ISO(200~12800)、シャッタースピード(最大15分~1/2000秒)を備え、P、A、S、Mモードで多様な撮影が可能です。絞り優先で背景のボケをコントロールしたり、マニュアルモードで長時間露光を行うなど、創造的な表現が容易。ISO200からの高感度設定は、低光量下でも柔軟に対応可能だが、高ISOではノイズが目立つ点に注意が必要です。この柔軟性は、フィルムシミュレーションと組み合わせることで、ヴィンテージ風の写真やシネマティックな効果を生み出すのに適しています。例えば、クラシッククロームで街角のスナップを撮影すると、映画のような雰囲気が得られます。

フラッシュの制限:アナタログ美学の再現不足

関連仕様

  • フラッシュ: 内蔵フラッシュ(固定式LED)、アクセサリーシュー(コールドシュー)
  • シャッター形式: レンズシャッター方式

内蔵LEDフラッシュは明るいものの、キセノン電球フラッシュの鮮やかな美学を再現できず、アナタログ愛好家には失望です。LEDは動きを止める効果がなく、ビデオ用の連続光やタリーランプとして機能しますが、クラシックなフラッシュ写真の雰囲気には程遠い。コールドシュー(センターピンなし)やPCシンクポートの不在により外部フラッシュが使用できない点は、フィルムカメラの再現を目指す本機にとって大きな欠点。例えば、夜間のポートレートやパーティー撮影での劇的なライティングを求める場合、この制限は創造性を制約します。

JPEG専用とフィルター効果:即時性を追求した設計

関連仕様

  • 静止画記録方式: DCF Ver.2.0準拠、JPEG、Exif Ver.2.31
  • アドバンストフィルター: トイカメラ、ミニチュア、ポップカラー、ハイキー、ローキー、ダイナミックトーン、ソフトフォーカス、パートカラー(レッド/オレンジ/イエロー/グリーン/ブルー/パープル)、ライトリーク、ハレーション、期限切れフィルム(グリーン/レッド/ニュートラル)、キャンバス、レトロ、ビネット、ぼかし、魚眼、色ずれ、ミラー、二重露光
  • グレイン・エフェクト: 強度(強/弱/OFF)、粒度(大/小)

X halfはRAW非対応でJPEG専用、ポストプロダクションよりもカメラ内編集を重視。アドバンストフィルター(例:期限切れフィルムのグリーン/レッド/ニュートラル、ハレーション、ライトリーク)はランダム化され、予測不可能な効果で撮影に楽しさを加えます。グレイン・エフェクトはフィルムらしい質感を再現し、ACROSモードでの白黒写真に深みを加える。インスタントカメラのような即時性を求めるユーザーに最適だが、ミラー効果やミニチュア効果は実用性が低いと感じられる場合があります。例えば、ライトリーク効果はランダムな色ムラでレトロな雰囲気を演出し、SNS映えする写真に適しています。

フレーミング効果と2-in-1モード:ユニークな画像構成

関連仕様

  • 記録画素数(ピクセル):
    • [L] 3:2: 7296 x 4864、2in1記録時、1:1: 4864 x 4864 / 7296 x 7296(1:1フレーム合成時)、3:4: 3648 x 4864
    • [M] 3:2: 4320 x 2880、2in1記録時、1:1: 2880 x 2880 / 4320 x 4320(1:1フレーム合成時)、3:4: 2160 x 2880
    • [S] 3:2: 2160 x 1440、2in1記録時、1:1: 1440 x 1440 / 2160 x 2160(1:1フレーム合成時)、3:4: 1080 x 1440
  • アドバンストフィルター: 二重露光

3:4写真にカラーストライプを追加して正方形化する機能や、2-in-1モードで2つの縦写真を並べた画像(ボーダーのスタイルや色をカスタマイズ可能)は、創造的なフレーミングを可能にします。例えば、風景と人物を並べたアート性の高い写真を作成可能。サムワインダーでフレームを進めるが、通常モードでの誤操作が課題で、ワインダーをしまっておくことが推奨されます。連続する2枚のみ結合可能な点も、計画的な撮影を要求します。

フィルムカメラモード:アナタログのノスタルジーをデジタルで

関連仕様

  • フィルムシミュレーションモード: 13モード(特にACROS、ACROS+Yeフィルター、ACROS+Rフィルター、ACROS+Gフィルター)
  • ドライブモード: アドバンストフィルター(ライトリーク、ハレーション、期限切れフィルムなど)
  • シャッター形式: レンズシャッター方式
  • 露出制御: P(プログラムAE)、A(絞り優先AE)、露出補正(-3.0EV~+3.0EV、1/3EVステップ)

フィルムカメラモードは、X halfの最大の特徴で、アナタログ撮影のノスタルジーを再現。フィルター(例:ACROS+イエローフィルター)を36、54、72ショットの「ロール」に固定し、日付/時刻スタンプも固定。プレビューや再生はなく、サムワインダーでフレームを進め、露出はほぼ自動(絞りと露出補正のみ)。リワインドアニメーションはフィルムカメラの雰囲気を高めますが、ACROS内でフィルター変更ができない点や、フォーカスポイントの非表示が没入感を損ないます。騒がしい環境ではシャッター音が聞き取りにくい場合も。例えば、街角でのスナップ撮影では、フォーカス確認の難しさがストレスとなる可能性があります。

サムワインダーの課題:操作性の改善が必要

関連仕様

  • ドライブモード: 二重露光(2-in-1モードでサムワインダー使用)

サムワインダーはフィルムカメラモードや2-in-1モードでフレームを進めるが、撮影直後の素早い操作では登録されず、赤い点滅ライトで警告。ダブルストロークで対応可能ですが、触覚フィードバックや抵抗感がなく、玩具のような感触が不満。ライカM3のような本物のフィルムカメラの操作感を求めるユーザーにとって、改善が望まれるポイントです。

富士フイルムXアプリ:アナタログ体験の補完

関連仕様

  • ワイヤレス転送部: IEEE802.11a/b/g/n/ac(無線LAN)、WPA/WPA2 mixed mode、WPA3、Bluetooth Ver. 5.2(Bluetooth low energy)、使用周波数範囲 2402〜2480MHz
  • デジタル入出力: USB Type-C USB2.0

専用アプリ「X harl App」は、フィルムカメラモードの「現像」やコンタクトシート作成に不可欠。カスタマイズ可能なコンタクトシートは、フィルムカメラの暗室作業を彷彿とさせ、既存写真からの2-in-1ショット作成も柔軟。撮影後に静かな場所で写真を確認するプロセスは、アナタログの喜びを再現し、例えばコンタクトシートをSNSで共有することで、撮影体験をさらに楽しめます。

ビデオ機能:実用性の低い限定的な性能

関連仕様

  • 動画記録方式: MOV(MPEG-4 AVC/H.264、リニアPCMステレオ[16bit/48KHz])、MP4(MPEG-4 AVC/H.264、AAC)、Long GOP
  • 動画解像度/アスペクト比:
    • Full HD(3:2):2160 x 1440(2in1記録時)、24p、50/20/10Mbps
    • Full HD(3:4):1080 x 1440、24p、50/20/10Mbps
    • Full HD(1:1):1440 x 1440 / 2160 x 2160(2in1記録時)、24p、50/20/10Mbps
    • High Speed Rec.(3:2/3:4/1:1):2160 x 1440 / 1080 x 1440 / 2160 x 2160、48p/36p/28p、50/20/10Mbps
  • シャッタースピード(動画): 1/2000秒~1/24秒
  • 音声: 内部マイク(リニアPCMステレオまたはAAC)、USB-C経由でヘッドフォン対応(マイク非対応)

ビデオ機能は内部マイクのみで、USB-Cはヘッドフォン対応だがマイク非対応。24p録画で音声が同期ズレし、1440×1080の解像度は準HD。縦型4×3アスペクト比や不安定なオートフォーカス、55秒の録画制限により、ビデオ撮影は実用性が低く、スマートフォンの使用が推奨されます。フィルター効果(例:ライトリーク)は静的で、ビデオに適さない。

総評:アナタログへのラブレター

X halfは、コンパクトで美しいデザイン(幅105.8mm、質量約240g)のポケッタブルカメラです。デジタルモードはフィルターやマニュアルコントロールで楽しい撮影体験を提供し、フィルムカメラモードはアナタログのノスタルジーを再現します。しかし、操作の遅さ、フォーカス確認の難しさ、ビデオ機能の限界が課題。画質はスマートフォンに劣るが、粒状感やフィルター効果による遊び心が魅力。アナタログへの愛を体現した「ラブレター」として、デザインの真摯さが際立つが、没入感の不足は今後の改良が期待されます。

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