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2025年6月12日(木)、富士フイルムは上海で開催されたX Summit Shanghai 2025において、FUJIFILM X-E5カメラとXF23mm F2.8 R WRレンズが発表されました。クラシックなデザインと最先端技術を融合させたこれらの新製品は、写真を撮る喜びを再定義します。この記事では、イベントのハイライト、新製品の詳細な仕様、X-E4との比較、市場の反応、そして富士フイルムの写真文化への取り組みを紹介します。
X Summit Shanghai 2025:写真文化への取り組み
上海の中心部に位置する富士フイルム最大のデジタルカメラショールーム「X-Space」。ここには最新のXシリーズおよびGFXシリーズの展示に加え、歴史的なフィルムカメラや過去のデジタルカメラが展示されています。広大な展示スペースは、写真の力を発信する場として機能し、写真文化の保護と発展をミッションとする富士フイルムの姿勢を体現しています。
富士フイルムは、Magnum Photosやパリ写真図書館と提携し、1950年代から2000年代初頭までの約65万枚のポジフィルムをデジタル化・保存するプロジェクトを進めています。この取り組みには、GFX100 IIの優れた画質が活用されており、写真の歴史や文化的側面を後世に伝えるための教育プログラムや著名写真家による講演も行われています。X-Spaceは、写真愛好家が集い、創作のインスピレーションを得る場として、写真文化の普及に貢献しています。
FUJIFILM X-E5:クラシックデザインと最新技術の融合

X-Eシリーズは、レンジファインダースタイルのコンパクトで軽量なボディで知られ、Xシリーズの歴史を形作る重要なラインです。2020年に発売されたX-E4以来、「原点回帰」をテーマに、プレミアムなデザインと直感的な操作性を追求してきました。X-E5は、この哲学をさらに進化させ、クラシックな外観と「写真を撮る喜び」を最大限に引き出すカメラとして誕生しました。
- センサー:第五世代のX-Trans CMOS 5 HRセンサー(約4020万画素)を搭載。高解像度と低ノイズを実現し、夜景などの暗いシーンでも優れた画質を提供。
- プロセッサー:X-Processor 5を搭載し、従来比約2倍の高速処理を実現。ディープラーニングAIによる被写体検出AF(人物、動物、鳥、車、バイク、自転車、飛行機、電車、昆虫、ドローン対応)で、動体追従や低コントラスト環境でも高精度なピント合わせが可能。
- 手ブレ補正(IBIS):X-Eシリーズ初の5軸ボディ内手ブレ補正を搭載。中心部で最大7.0段、周縁部で6.0段(CIPA 2024基準、XF35mmF1.4 R装着時)の補正効果を提供し、幅広い撮影シーンに対応。
- コンパクトデザイン:IBIS搭載ながら、X-E4と同等のコンパクトなサイズを維持。内部レイアウトの最適化により、日常的な持ち運びを容易に。
- クラシックディスプレイモード:レトロでシンプルなクラシック表示モード(EVF専用)を新搭載。ダイヤルとレバーの操作が右手で完結するレイアウトで、撮影に没入可能。
- サラウンドビューモード:アスペクト比に応じて撮影範囲外を半透明やラインで表示。OVFのようなフレーム外を意識した撮影体験を提供。
- デジタルテレコンバーター:1.4倍および2倍のズーム機能を搭載し、単焦点レンズでも高画質を維持。
- ファインダー:EVF 0.39型有機ELファインダー 約236万ドット
- 液晶モニター:3.0型チルト式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター
- フィルムシミュレーションダイヤル:新たに搭載されたFS1~FS3ダイヤルで、20種類のフィルムシミュレーション(REALA ACE含む)と画質設定を組み合わせた独自の「FSレシピ」を保存可能。グレイン効果、カラークローム効果、明瞭度(11レベル)、スムーススキン効果、ホワイトバランスシフトにも対応。
- 動画機能:6.2K/30p 4:2:2 10-bit内部記録、4K/60p、1080/240pに対応。高品質な動画撮影も可能。
- 互換性:FUJIFILM XApp、Frame.io Camera to Cloud、instax Link Seriesプリンタ対応。
地元写真家の張さんは、X-E5のクラシックなデザインと操作性を高く評価。「レンジファインダースタイルとダイヤルの操作感が、撮影を直感的かつ楽しいものにしてくれる」と語り、特にフィルムシミュレーションを活用した「サンライトクリーム」や「アフタヌーンサンライト」といった独自のレシピを共有。X-E5の個性的な表現力を称賛しました。
XF23mm F2.8 R WR:携帯性と高画質の完璧なバランス

Xシリーズ向けの45番目のレンズとして発表されたXF23mm F2.8 R WRは、日常使いに最適な23mm焦点距離(35mm換算で約35mm)を持ち、以下の特徴を備えています:
- 軽量・コンパクト:重量わずか90g、長さ23mmで、XF27mm F2.8と同等のパンケーキレンズサイズ。高画質を維持しつつ、携帯性に優れる。
- 高画質設計:8群8枚(2枚の非球面レンズ含む)、11枚の絞り羽根を採用。球面収差や歪みを抑制し、GFレンズで培った高精度光学調整技術を活用。
- 絞り値:最大絞りF2.8で、他の23mmモデルより小型化しつつ、フラッグシップモデルに匹敵する画質を確保。
- 耐候性:-10°Cまでの低温と湿気に対応する耐候設計。過酷な環境でも信頼性を発揮。
- 最短撮影距離:20cmで、クローズアップ撮影にも対応。
- 付属品:レンズフード付属。
富士フイルム中国のRuya氏は、「23mmは人間の視野に近い自然な視点を提供し、どんな撮影シナリオにも適している」と強調。X-E5との組み合わせで、広角から標準まで幅広いシーンに対応する理想的なレンズとして注目されています。
X-E4との違い
X-E5は、X-E4から大幅な進化を遂げています。以下に主な違いを比較表でまとめます:
項目 | X-E5 | X-E4 |
---|---|---|
センサー | 40.2MP X-Trans CMOS 5 HR | 26.1MP X-Trans CMOS 4 |
手ブレ補正 | 5軸IBIS(最大7.0段/中心、6.0段/周辺) | なし |
フィルムシミュレーションダイヤル | あり(FS1~FS3カスタマイズ可能) | なし |
ISO標準感度 | ISO 125 | ISO 160(拡張でISO 125) |
表示モード | クラシックモード、サラウンドビューモード | 標準モードのみ |
デザイン | X100VI風、アルミ削り出しトッププレート | フラットデザイン |
動画機能 | 6.2K/30p 4:2:2 10-bit、4K/60p | 4K/30p |
これらのアップデートにより、X-E5は高解像度、強力な手ブレ補正、クラシックな操作性を備えたプレミアムモデルとして、X-E4から大きく進化しました。
価格と発売情報
- X-E5ボディ:€1,549 inc. VAT
- ドル換算: 約$1,649 (1ユーロ = 1.065 USDとして計算)
- 円換算: 約¥261,000 (1ユーロ = 168.5 JPYとして計算)
- X-E5+XF23mm F2.8 R WRキット:€1,799 inc. VAT
- ドル換算: 約$1,916 (1ユーロ = 1.065 USDとして計算)
- 円換算: 約¥303,000 (1ユーロ = 168.5 JPYとして計算)
- XF23mm F2.8 R WRレンズ単体:€449 inc. VAT
- ドル換算: 約$478 (1ユーロ = 1.065 USDとして計算)
- 円換算: 約¥75,600 (1ユーロ = 168.5 JPYとして計算)
- 予約開始日:2025年6月12日(海外の場合。日本はまだ未定)。
- 発売日:2025年8月(ボディ)、12月(レンズ)。
※ 価格は国や地域により変動する可能性あり。詳細は富士フイルム公式サイトで確認してください。
市場の反応
市場の反応は概ねポジティブで、以下のようなポイントが話題に。
- 高い期待:40.2MPセンサー、IBISの初搭載、X100VI風のクラシックデザインがエンスージアスト層から高評価。特に、フィルムシミュレーションダイヤルの導入は、個性的な表現を求める写真家に好評。
- 価格への懸念:X-E4(約$849)に対し、X-E5の€1,549は高価格と見なされ、一部ユーザーからコストパフォーマンスへの懸念が上がっている。
- 供給問題:X-E4の生産不足による供給問題が記憶に新しく、X-E5でも同様の問題が懸念されている。Fuji RumorsやThe Phoblographerは、需要の高まりに対応する供給体制の改善を求めている。
- X100VIとの比較:X100VIの人気を受け、X-E5はその代替として注目。交換レンズ対応による柔軟性が強みとされている。
まとめ
X Summit Shanghai 2025は、富士フイルムの写真文化への情熱と技術革新を体現する場でした。X-E5は、クラシックなデザインと最新技術の融合で、撮影の喜びを再定義。XF23mm F2.8 R WRは、優れた携帯性と高画質を両立し、Xシリーズの選択肢を広げます。日本における発売状況や需給バランスに関する今後の展開に注目が集まる中、富士フイルムには販売体制のさらなる強化と円滑な供給が期待されます。