2025年のAppleを株価から振り返る:今のAAPLは割高か、まだ“買い”なのか?

2025年のアップルの株価推移

当サイトのリンクには一部プロモーションを含みますが、一切その影響は受けず、公正・中立な立場で制作しております。

もし、2025年のAppleを一言で表すなら──

「AIへの期待で過去最高値を更新しつつも、『さすがに高すぎる?』という声も消えない銘柄」

こんな印象が近いかもしれません。

iPhone 17シリーズやApple Intelligence、Siriの大型アップデート計画、Vision Proなど、プロダクトの話題には事欠かない1年でしたが、投資家目線で見ると「AAPLは今どういう状態なのか?」 を整理しておきたい人も多いはずです。

そこでこの記事では、

  • 2025年のApple株(AAPL)の動きをざっくり振り返りつつ
  • 直近の決算やAppleの財務状況
  • アナリストがどう評価しているか
  • これから1〜3年、チェックしておきたいポイント

を、Apple製品ユーザーでも分かる言葉 でまとめていきます。

※本記事は、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

2025年のApple株:最高値更新と足元の水準

2025年のアップルの株価推移
2025年のアップルの株価推移

まずは数字の「ざっくり位置関係」から。

  • 2025年12月上旬時点のAAPLは、おおよそ280ドル前後で推移
  • 12月2〜3日には史上最高値となる約288ドル台をつけ、52週高値圏での推移が続いています。
  • 過去12ヶ月のトータルリターン(株価+配当再投資)は約15%前後と、S&P500全体をやや上回る成績。

2022年の調整(大きめの下落)を経て、2023〜2024年でかなり戻したところから、2025年は「高値圏でじわじわ上がってきた1年」という見方ができそうです。

この価格帯でもなお、Evercore ISIなど一部の投資銀行は目標株価を325ドルまで引き上げていて、「AIとSiriの大幅アップデートが本格的に織り込まれるのはこれから」という強気なスタンスを崩していません。

ビジネス全体を数字でざっくり把握する

次に、「株価の土台」になるビジネスの実力を決算数字ベースでざっくり見ておきます。

売上:年間4,160億ドルのモンスター企業

Appleの2025会計年度(2025年9月期)の売上は、約4,160億ドル(約64〜70兆円規模)と過去最高を更新。

  • 直近四半期(2025年Q4)の売上は 1,025億ドルで前年同期比+8%
  • その中で、サービス部門は売上・利益ともに過去最高を更新
  • 営業利益率・純利益率も非常に高く、Q4のEPS(1株利益)は記録更新レベル

という、数字だけ見るとほぼ「教科書に載せたい優等生決算」です。

どこで稼いでいるか:iPhone+サービスが2本柱

ざっくり構成比を見ると、

  • iPhone:売上全体の約半分
  • サービス:売上の約4分の1前後(ただし利益率は圧倒的に高い)
  • 残りがMac、iPad、Apple WatchやAirPodsなどのウェアラブル

というイメージです。

とくにサービスは、

  • App Store
  • 広告
  • iCloud
  • Apple Music / TV+ / Arcade / Fitness+ / Pay などのサブスク

がまとめて「毎月チャリンチャリン」入ってくる構造になっていて、ハードよりも利益率が高い“おいしいビジネス”になっています。

2025年の株価を支えたポジティブ要因

では、その強い株価を支えた「良い材料」は何だったのか。

大きく3つに整理できます。

1. iPhone 17シリーズとスマホ市場での強さ

調査会社IDCなどのデータを見ると、2025年のスマホ市場は全体では微増ですが、その成長のかなりの部分をiPhone 17シリーズが牽引している形です。

  • 2025年のiPhone出荷台数は前年比+6%前後の伸び予想
  • 中国市場でも、iPhone 17シリーズ発売後にシェアが20%超まで戻る期間があった
  • iPhone売上は、年間で2,600億ドル前後に達する見込み

といった数字が出ており、依然として「スマホ=iPhoneの利益独り勝ち」構図は崩れていません。

もちろん、PixelやGalaxy、中国勢のハイエンド機の追い上げは続いていますが、「カメラ・ディスプレイ・SoC・エコシステムを含めたトータルパッケージで見ると、まだiPhoneは強い

という評価が、市場では根強い印象です。

2. サービスとサブスクの安定成長

2025年Q4のサービス売上は過去最高の約288億ドル

前年同期比では+15%前後と、ハードよりも高い成長率を維持しています。

内訳は細かく開示されていませんが、App Store、クラウド(iCloud)、広告、サブスク系サービスのすべてが順調に伸びているとされています。

投資家から見て、

  • 「iPhoneが多少頭打ちになっても、サービスが成長を埋めてくれる」
  • 「一度Appleの世界に入ったユーザーから、毎月・毎年、安定的に売上が上がるモデル」

という安心感につながっていて、PER(株価収益率)が多少高くても許容されやすい理由になっています。

3. AI・Siri・Apple Intelligenceへの“期待値”

そして2025年のAAPLを語る上で外せないのが、AI期待です。

  • 2024年のWWDCで「Apple Intelligence」とより賢い新Siriが発表される
  • 実際の本格提供は品質面から延期され、2026年春ごろに大型アップデートが来るとされています
  • それでも、Evercore ISIなど複数のアナリストは「AIアップグレード需要でiPhoneの買い替えサイクルがもう一段回る」と見て、目標株価を325ドルに引き上げ

といった流れがあり、「AppleもいよいよAI本気モードに入った。その果実が出てくるのはこれから数年」

というストーリーが、株価にかなり織り込まれ始めています。

一方で意識しておきたいマイナス要因・リスク

ポジティブ材料だけを見ると「最強すぎる」感がありますが、投資家が警戒しているポイントもいくつかあります。

バリュエーション(株価の高さ)

  • AAPLは時価総額で世界トップクラス
  • 2025年12月時点でも、史上最高値圏で推移
  • PER(株価収益率)はS&P500平均より高い水準で、「バリュー株」というよりは明らかに「プレミアム銘柄」

という状態なので、「素晴らしい会社なのは分かるけど、ここからさらに何倍も狙えるのか?」

と感じる投資家がいるのも事実です。

とくにインデックス投資や分散投資をしている人にとっては、すでにポートフォリオの中でAAPLの比率がかなり高くなっている ケースも多く、追加で買い増すべきかどうかは悩ましいところです。

AI競争での“出遅れ”懸念

生成AIの分野では、

  • Google(Gemini)
  • Microsoft(Copilot)
  • OpenAI(ChatGPT)

あたりが目立っている一方で、「AppleはAIで一歩二歩、出遅れている」という評価は、2025年時点でも根強く残っています。

実際、AI部門トップのJohn Giannandreaが退任し、Amar Subramanyaが新VPとして就任するなど、AIリーダーシップの入れ替えが起きていて(記事はこちら→ AppleのAIトップ退任と幹部流出は、iPhoneユーザーにどう影響するか)、

  • Siriの大型アップデートが何度も延期されていること
  • Vision Pro含め、AI体験が他社ほど“派手に見えない”こと

などから、「AI本気モードに入ったのはいいけど、ここからトップ集団に追いつけるのか?」

という不安と期待が、両方混ざっている状態です。

中国市場・規制リスク・スマホ市場全体の伸び悩み

もうひとつ無視できないのが、外部環境のリスクです。

  • 中国市場では、地政学リスクや現地メーカーの台頭によりiPhoneシェアが上下しやすい状況が続いている
  • 米国・EU・日本などで、App Storeやブラウザエンジンの開放を求める規制が強まっている
  • スマホ市場全体は、2025年こそプラス成長なものの、2026年以降は再び微減予想も出ている

こうした要因は、長期では「Appleの成長を少しずつ削るブレーキ」になりうるため、アナリストレポートでも必ずリスクとして触れられています。

財務の健全性と株主還元:守りも超優秀

とはいえ、Appleがここまで高い評価を維持している最大の理由は、「攻めだけでなく、守りも異常に強い」 ところにあります。

キャッシュ創出力

  • 2025年Q4の営業キャッシュフローは約297億ドルと四半期過去最高レベル
  • 1年間トータルでも、1,000億ドル近いキャッシュを生み出している

という規模感で、「稼いだお金でまた新しいことができる」 サイクルが回っています。

バランスシートと株主還元

  • 現金・有価証券を巨額に保有しつつ、実質的にはほぼネットキャッシュ中立〜ややプラスの状態
  • ここ数年、一貫して自社株買いと配当を継続
  • 配当利回り自体は高くないものの、自社株買いを通じて1株あたり利益を着実に押し上げている

長期で見ると、「AAPLを持っているだけで、じわじわと1株あたりの価値が増えていく」

という構造になっており、高値圏にあっても長期保有の“コア銘柄”として持ち続ける人が多いのも納得です。

これから1〜3年、Apple株を見るうえでのチェックポイント

では、ここから先、AAPLをウォッチするときにどこを見ておけばいいのか。

個人的には、以下の4点が重要だと考えています。

1. 2026年春のSiri大型アップデート(Apple Intelligence本格始動)

  • Siriがどこまで「賢く」「自然に」なるのか
  • Apple Intelligenceが、iPhone・Mac・iPad・Watch・Vision Proを本当に“つなぐ存在”になれるのか
  • それによって、買い替え需要がどれだけ起きるか

このあたりは、Evercoreなどが目標株価引き上げの根拠にしているポイントで、2026年の一大イベントといっても過言ではありません。

2. Vision Proとメガネ系デバイスの“第二のiPhone”化

  • Vision Proが「プロ向けガジェット」で終わるのか
  • あるいは、価格帯やフォームファクタを変えた派生モデルが出て、一般ユーザーにも広がっていくのか
  • 将来的なメガネ型デバイス(Apple Glass的なもの)が、iPhoneに次ぐプラットフォームになれるのか

ここがうまくハマれば、現在の株価水準でも「まだ安かった」と言われる未来もありえます。

3. サービス売上の成長ペース

  • Servicesセグメントの前年比成長率がこの先も10%台を維持できるのか
  • Apple Music、TV+、ゲーム、広告など、各サブカテゴリの伸びに偏りが出てこないか
  • 規制(手数料率・ストア開放要求など)の影響がどこまで収益性を削るのか

サブスク・サービスは、株価の“プレミアム部分”を支えている要素なので、数字の伸びが鈍化してきたタイミングではマーケットが神経質になる可能性があります。

4. 中国・インドなど成長市場でのポジション

  • 中国でのシェア争いと、地政学リスク
  • インドや東南アジアでの工場・販売網の整備
  • 現地メーカーとの競争・提携のバランス

スマホそのものの出荷台数は世界全体としては大きく伸びないかもしれませんが、地域別のシェアの取り合いは今後も続きます。

まとめ:2025年のApple株を一言で言うと…

ここまでの内容を、あえて一言にまとめるなら、

「数字は相変わらず超優等生。株価は高いが、“AIの本番”はこれから、という位置」

だと感じます。

  • 売上・利益・キャッシュフローは史上最高レベル
  • サービスとサブスクは、まだしっかり伸びている
  • ただし株価は史上最高値圏で、ここから先の上昇にはAIと新カテゴリの成功が必要
  • AIでは出遅れ懸念がある一方で、Siri大型アップデートや新体制への期待も大きい

Apple製品が好きで、つみたて投資や長期投資の中にAAPLを入れている・検討している人にとっては、

  • 「今すぐ全力で飛び乗る銘柄」というより、
  • 「ポートフォリオの中核として、AIと新しいデバイスの行方を見守りながらコツコツ付き合っていく銘柄」

という捉え方が、2025年末時点では一番しっくりくるポジションかもしれません。

今後も、Siriアップデートや決算のたびに、また最新情報を追いかけつつ整理していきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です