Macの伝説的開発者ビル・アトキンソン、膵臓がんで74歳で逝去

初期のMacintosh

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2025年6月5日、アップルの初期Macintosh開発に大きく貢献したビル・アトキンソン(Bill Atkinson)が、膵臓がんのため74歳でこの世を去りました。家族は彼のFacebookページで以下のように発表しました。

私たちの愛する夫、父、義父であるビル・アトキンソンが、2025年6月5日(木)の夜、膵臓がんのため亡くなりました。彼はポートラバレーの自宅で、家族に囲まれながら息を引き取りました。彼の存在は私たちにとって、そして多くの人にとって大きなものでした。彼は意識に魅了された人物であり、新たな意識の次元へと旅立った彼に、この人生で彼と過ごした時間と同じくらい意義深い旅を願います。

アトキンソン氏は、妻、2人の娘、義理の息子、義理の娘、2人の兄弟、4人の姉妹、そして愛犬ポピーに看取られました。

Macの礎を築いたQuickDrawとMacPaint

MacPaint

アトキンソン氏の功績は、アップルの歴史において計り知れない影響を与えました。彼はMacのグラフィックエンジンであるQuickDrawをほぼ独力で開発し、Macintoshの直感的な操作性と美しいビジュアルを実現しました。また、ビットマップ編集のパラダイムを一般に広めたMacPaintの初期バージョンも彼の手によるものです。このMacPaintは、後のAdobe Photoshopに大きな影響を与え、デジタルグラフィックのスタンダードを築きました。

さらに、彼が開発したHyperCardは、ハイパーテキストの概念を一般ユーザーに紹介し、後のWorld Wide Webの原型とも言える影響を与えました。HyperCardは、個人が簡単にコンテンツをリンクさせ、インタラクティブなアプリケーションを作成できるツールとして革新的でした。実際に、HyperCardはウェブの父ティム・バーナーズ・リーのインスピレーションの一部ともなったと言われています。

膵臓がんとの闘い:アップルコミュニティに与えた影響

アトキンソン氏は昨年、膵臓がんの診断を受けたことを公表していました(2024年11月14日)。膵臓がんは非常に致死率の高い病気であり、アップルに関連する人物では、スティーブ・ジョブズやMacintoshプロジェクトの創始者ジェフ・ラスキンも同じ病気で亡くなっています。アトキンソン氏の逝去は、アップルファンにとって再び大きな喪失感をもたらしました。

日本のアップルファンへ:アトキンソンの遺産を振り返る

日本でも多くのクリエイターやエンジニアが、MacPaintやHyperCardを通じてアトキンソン氏の影響を受けました。特に、HyperCardはプログラミングの入門ツールとして、90年代の日本のMacユーザーに愛されました。彼の創造したツールは、単なるソフトウェアを超え、クリエイティビティを刺激する存在でした。

アトキンソン氏の業績を知りたい方は、Andy HertzfeldのFolkloreで彼の名前を検索してみてください。そこには、スティーブ・ジョブズとのエピソードや、彼の驚異的な創造力が垣間見えるストーリーが詰まっています。

意識の探求者、アトキンソンの旅路

アトキンソン氏は「意識」に強い関心を持っていました。家族の言葉にあるように、彼は新たな意識の次元へと旅立ったのかもしれません。Macworld Expo 2010での会話を通じて彼の人柄に触れたファンも多く、彼の温かさと情熱は多くの心に残っています。

日本のアップルコミュニティとして、ビル・アトキンソン氏の功績を称え、彼の遺したものをこれからも大切にしていきましょう。彼の創造したツールは、今も私たちのクリエイティブな活動の基盤となっています。

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