Promise Pegasus3 R4 のRAID 5が遅くなった?6年使ったHDDを交換して速度を取り戻した方法

RAID5 HDD交換

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6年間使っていた Promise Pegasus3 R4(現在は後継機のPromise Pegasus32 R4が発売中で価格は約21.5万円) の RAID 5 の転送速度が購入時の1/3以下に低下 しました。購入当時の記事はこちら↓。ちなみに購入価格は143,640円(HDD 3TB×4 込)でした。

購入当初は快適だったものの、6年も経過すると動画編集中にデータの読み込みが遅くなり、明らかにパフォーマンスが落ちていました。あと、Pegasus3 R4に入れてた大量のファイルが入ったフォルダを開くとぐるぐるアイコンが出てきて表示されるまで時間がかかるようになってきてました。

最近はNASがメジャーになってきてまして、うちもNASに買い替えようかなと思いましたが、結論から言うと購入当時以上の転送速度に向上したので、NAS買わなくて正解でした。やったのはHDDの交換とRAID 5のリビルドです。Promise Pegasus3 R4、購入時にそれなりの金額だったのは伊達じゃなかったようです。製品の質が良いです。高額でしたが本当に買って良かった。

本記事では、

  • RAID 5 の転送速度が遅くなる原因
  • HDDを交換する際の選び方
  • Promise Utility での RAID 5 のリビルド方法(ここが一番迷った!)
  • 交換後の転送速度の比較結果

これらを詳しく解説します。

レビュー動画

動画でもRAID5 HDD換装の流れを紹介しています。

00:00 Thunderbolt RAID ストレージが遅くなってきた
01:37 今回購入したHDD
03:09 まずはデータをバックアップ
03:27 HDDを換装する
07:04 Promise Utilityで設定する
09:51 HDD交換後の転送速度テスト
11:43 まとめと感想

なぜ RAID 5 の転送速度が遅くなったのか?

購入当初と比べて、6年経過したらどれぐらい転送速度が落ちるのかは、上記動画をご覧ください。実際には購入当初から1/3以下のスピードになっていました。

原因①:HDD の経年劣化

長年使用したHDDは、

  • 通電時間(Power-on Hours Count)が4万時間を超え(約4.5年)
  • 磁気ディスクの劣化、モータの消耗、キャッシュ性能の低下

これらが進み、徐々に転送速度が落ちていきます。

一般的なHDDの寿命は約3~5年(約2~4万時間)とされており、4万時間を超えたHDDは交換を推奨されるケースが多いです。特に24時間稼働するRAID環境では、早めの交換が望ましいのです。

原因②:RAID 5 のリビルド不足

RAID 5 は パリティ計算を使ってデータを分散 していますが、

  • 長期間運用していると、データの整合性が崩れ、アクセス速度が低下
  • RAID のリビルドを定期的に行わないと、書き込み速度が落ちる(ここで言う「リビルド」は、HDD故障時の復旧ではなく、RAID の定期的な整合性チェックを指す)。Promise Pegasus3 R4 では、「Background Activities」→「Media Patrol」で定期チェックが可能です。これを実施することでRAIDのパフォーマンスを維持できます。

原因③:RAID のストライプサイズが適切でない可能性

  • 購入時のストライプサイズが不明 で、最適化されていない可能性
  • 用途に合わせた適切なストライプサイズを設定することが重要(一般的な設定例:128KB → 小さなファイルやランダムアクセスが多い用途、256KB → バランス型で動画編集や写真管理向け、512KB~1MB → 大容量ファイルのシーケンシャルアクセス向け)

やったことの流れ

ステップ1:HDD の健康状態を確認

Promise Utility の「Physical Drive」タブで、HDDの SMART 情報 をチェック。

  • Power-on Hours Count(通電時間) → 4万時間超え(約4.5年)
  • Reallocated Sector Count(代替セクタ数) → 0(致命的な故障はなし)

物理的な故障はないが、通電時間が4万時間を超えているのでいつ故障してもおかしくない状況だと判断。内部的に経年劣化が進んでいるのは間違いないので、HDDを交換することを決定しました。

ステップ2:新しい 交換用のHDD を選定

今回、色々と検討した結果、交換用のHDDはSeagate IronWolf 4TB に決めました。選んだ理由はこちら。

  • NAS向けHDDでRAID運用に最適(24時間稼働を想定した耐久性)
  • 回転数は5400rpmだがRAIDなので7200rpmじゃなくても大きな影響はない&キャッシュは256MBと高性能
  • 振動・温度センサーを搭載し、RAID環境での安定動作が期待できる
  • MTBF(平均故障間隔)が長く、信頼性が高い
  • NAS対応HDDの中でもコスパが良く、安心感がある
  • 交換前のHDDが東芝製の一般的なデスクトップ用だった。これが6年も使えたので、NAS用で評判の良いIronWolf 4TBでも問題ないと判断
項目交換前 (東芝DT01ACA300)交換後 (IronWolf 4TB)
容量3TB × 44TB × 4
回転数7200rpm5400rpm
キャッシュ64MB256MB
MTBF
(平均故障間隔)
不明100万時間
転送速度
(RAID 5)
226MB/s202MB/s

ステップ3:RAID 5 のリビルド方法(ここが一番重要!)

RAID 5 のリビルドには2つの方法があります。

  1. 1台ずつHDDを交換しながらリビルド(時間がかかる)
  2. 全HDDを交換して、新規にRAID 5 を構築(今回はこれを選択)

今回は2の方法で一気にHDDを交換しました。交換前に、別の外付けHDDや内蔵ストレージにPegasus3 R4のデータをバックアップしておきました。何かあった時のための保険です。

RAID 5 の再構築手順

Promise Utility.app Logical Drive設定
Logical Driveの設定(今回設定した内容)
  1. Promise Pegasus3 R4をMacからアンマウントし、電源を切ってケーブル類を抜いた状態で、旧HDD4つを取り出す。※既存のRAID 5は削除せず、そのまま抜いて保管。万が一の場合の保険です。意向がうまくいかなかった場合は、また同じ順番でセットすれば以前の状況を復元できます。
  2. 新しいHDD(IronWolf 4TB)をセットし直して本体に4台挿入
  3. Macにケーブルを接続し電源オンすると、「接続したディスクは、このコンピュータで読み取れないディスクでした。」と4つ表示されるので、全て「無視」をクリックする
  4. Promise Utility.app を起動して「Disk Array」タブで「Create Disk Array」を実行。各スロットをクリックして「confirm」と入力しConfirmボタンをクリック。これを4スロットで行う。終わったら Submitボタンをクリック。
  5. Logical Drive 設定
    • Alias(エイリアス):用途に応じた名前を設定(任意:好きな名前でOK)
    • RAID Level:RAID 5 を選択
    • Capacity(容量):最大値(12TB)を設定。特に容量を分割しないなら、最大値のままでOK
    • Stripe Size(ストライプサイズ):256KB(バランス重視:動画編集や写真のRAWファイルが多い)
    • Sector(セクターサイズ):これはファイルシステム側で管理するので変更不要
    • Read Policy(リードポリシー):ReadAhead(リードアヘッド)にすると、頻繁にアクセスされるデータを事前にキャッシュし、読み込みを高速化できる
    • Write Policy(ライトポリシー):WriteBack(ライトバック)は、データを書き込む前にキャッシュへ保存し、書き込みの速度を最適化する。RAID 5 ではパリティ計算が必要なため、キャッシュを利用する WriteBack の方が高速。WriteThrough(ライトスルー)にすると、書き込み速度が低下する
  6. 「Add」をクリックすると右側に今設定した論理ドライブがリストアップされるので「Submit」をクリックし、RAID 5 を構築開始
  7. 「接続したディスクは、このコンピュータで読み取れないディスクでした。」と表示されるので、そのまま「初期化…」をクリックしてMac のディスクユーティリティで APFS にフォーマット
  8. 「Background Activities」タブでリビルド進行状況を確認(約7.5時間)

この方法で、RAID 5 の転送速度を最適化しました。ポイントはストライプサイズの256KBです。購入直後の設定は、確か1MBだったはずなので、より適切に設定できました。

結果:RAID 5 の転送速度はどれくらい回復した?

実際にどれぐらいスピードアップしたのかは、上記レビュー動画をご覧ください。驚くべき結果になってます。

ちょっと前に、動作が遅くなってきてたのでM1 Max MacBook Pro 14インチからM4 Pro Mac Miniに買い替えようかなと考えたこともありましたが、Promise Pegasus3 R4にネタ元の動画を置いて、それをDavinci Resolveで編集書き出しする場合、RAIDストレージの速度が影響を与えていたんだということを肌で実感。M1 Maxの速度ってやっぱり早かったんだというのを再確認させられました。買い替えを急がなくて良かった。

まとめ

✅ RAID 5 の速度低下は「HDDの経年劣化」が主な原因
✅ SMART情報を確認し、Power-on Hours Count 4万時間超えなら交換を検討すべき!
✅ HDDを NAS 向けの高速モデル(Seagate IronWolf 4TB)に交換したことで速度が回復
✅ Promise Utility で RAID 5 を再構築し、ストライプサイズ 256KB に最適化

あとは、今までMacはスリープ運用してたのを日々の業務が終わったらシャットダウンするようにしました。スリープ運用だと、Macがスリープしてる状態でも外付けストレージは起動したままなのでずーっとHDDは回転しっぱなしになるんですよね。それだと寿命が短くなるので、できるだけHDDの劣化を防ぐためにシャットダウン運用がおすすめです。

結論!RAID 5 の速度が遅くなったら、HDD交換 & 設定見直しが最適解ですよ!

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