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iPhone 15から搭載された「上限80%」の理由
iPhone 15 Proを購入してから気がついたバッテリー「上限80%」という新項目。
iPhoneでは、設定→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で、現在の最大容量を確認することが出来ます。さらに、iPhone 14までは「充電の最適化」で「バッテリー充電の最適化」と「なし」から選択できるようになってました。
それがiPhone 15シリーズから「上限80%」が追加され、
- バッテリー充電の最適化
- 上限80%
- なし
の3つから選べるようになりました。
上限80%は何が違うのか?
これまでは「バッテリー充電の最適化」に設定しておけば、iPhoneが人によって日頃どのように充電されているのかを学習し、バッテリーの劣化を軽減するために最適な充電方法を選択してくれてました。
これはMacBook系でも同じ。M1 Max MacBook Pro 14インチをクラムシェルモードにして常時電源接続して使ってますが、「バッテリー充電の最適化」をオンにしてるので充電は常に80%で保留中になってます。充電を100%の状態を保つと過充電になりバッテリーへのストレスが増えるので、これによりバッテリーの安全性を向上させ寿命を伸ばすことが出来てるようです。
ここで思ったのが、なぜ新たに「上限80%」を追加する必要があったのかということ。
これは「バッテリー充電の最適化」の機械学習に理由があります。機械学習の場合、充電中にユーザーが使い始める時間を推定し、バッテリーの寿命に大きな影響のある100%充電状態が長く続かないように充電してくれます。
一方、「上限80%」は、ユーザーの使用状況は考えずに、単純にバッテリーの満充電状態が80%になります。バッテリーの残量が75%下回ると充電が再開し、再び80%になると停止します。
これにより、バッテリーの寿命に悪影響のある過充電状態100%になる可能性はより低くなるというわけ(ただし、上限80%でもバッテリーの充電状態の推測精度を維持するため、ときどき100%まで充電されます)。
ここで、iPhoneに採用されてるリチウムイオンバッテリーについてもっと知りたい方向けに、スマホのバッテリー寿命を延ばす秘訣を以下にまとめておきます。
スマホのバッテリー寿命を延ばす秘訣
iPhoneのバッテリーに使われている充電用の電池は、リチウムイオン電池です。
まずは、ほかにどんな種類の充電用電池があって、どんな用途で使われているのか。
主な充電用電池の種類と使用例(用途)
- ● ニッケルカドミウム電池(Ni-Cd)
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- 特徴:長い歴史があり、高い放電電流を処理できることが特徴
- 欠点:メモリー効果があり、充放電サイクルが進むにつれて容量が低下することがあり、カドミウムは環境に悪影響を与える可能性がある
- 使用例:現在はあまり一般的ではない。一部の古い携帯電話や一部の家庭用電化製品など
- ● ニッケル水素電池(Ni-MH)
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- 特徴:Ni-Cdよりも容量が大きく、メモリー効果が少ない
- 欠点:充放電効率がやや低く重い
- 使用例:一部のデジタルカメラ、一部の携帯電話、無線機、おもちゃ、リモコンなど
- ● リチウムイオン電池(Li-ion)
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- 特徴:高いエネルギー密度、軽量、メモリー効果がないなどがあり、モバイルデバイスに広く使用されている
- 欠点:過充電や過放電には慎重である必要があり、製造においては安全性への配慮が必要
- 使用例:スマートフォン、ノートパソコン、電動工具、電動自転車、電動スクーター、電気自動車、プラグインハイブリッド車など
- ● リチウムポリマー電池(Li-Po)
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- 特徴:フレキシブルで薄型デバイスに適しており、リチウムイオン電池よりも形状に柔軟性がある
- 欠点:高温や過充電に対しては慎重が必要で、製造コストが高い
- 使用例:スマートフォンやウェアラブルデバイスなど薄型のデバイス
リチウムイオン電池とは?
1980年代初頭にアメリカの物理学者のジョン・B・グッドイナフ(John B. Goodenough)が主導する研究グループによって発明されました。
リチウムイオン電池は、軽量かつ高エネルギー密度を備えた再充電可能な電池の一種です。この技術は1980年代初頭から進化しており、現代の携帯電話やスマートフォンなどのデバイスに広く使用されています。
リチウムイオン電池は、リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで電気エネルギーを生み出す仕組みを持っています。
他の電池とリチウムイオン電池の違い
他の電池に比べて、リチウムイオン電池は高いエネルギー密度と長寿命が特徴。
また、メモリー効果がないため、部分的な充放電でも性能に影響が少ないのが利点です。さらに、軽量かつ小型であるため、携帯電話やスマートフォンなどの薄型デバイスに適しています。
なぜスマートフォンにはリチウムイオン電池が使われているのか
リチウムイオン電池は小型でありながら高いエネルギー密度を持っているため、薄型デバイスに適しています。
また、メモリー効果がないため、効率的な充放電が可能で、使用者に快適な経験を提供します。
リチウムイオン電池を長持ちさせる方法
リチウムイオン電池が搭載されたスマートフォン(AndroidもiPhoneも)のバッテリー寿命を延ばすためには、以下のポイントに留意することが重要です。
- 適切な充電レベルの維持:バッテリーを80%までしか充電しないことが、長寿命の秘訣とされています。定期的に80%までの充電を心がけましょう。
- 適切な充電器の使用:メーカーが推奨する充電器を使用し、正しい電圧と電流を提供することで、バッテリーにかかる負荷を最小限に抑えます。
- 適温での使用:スマートフォンは適温で使用するよう心がけましょう。極端な温度はバッテリーに悪影響を与える可能性があります。
- 適切な充放電サイクル:完全な充放電は必要ありません。部分的な充放電を繰り返すことがバッテリーの寿命に良い影響を与えます。
- 定期的なソフトウェアアップデート:メーカーが提供するソフトウェアアップデートを適用し、最新のバッテリー管理機能を利用しましょう。
充電上限80%の理由と効果
スマートフォンのバッテリーを80%までしか充電しない方法は、一般的な充電100%までと比較して、バッテリー寿命を延ばす効果があります。
その理由が以下の3点。
- サイクル寿命の最適化:リチウムイオン電池は充放電サイクルが進むにつれて劣化します。バッテリーを80%までしか充電しないことで、毎回のサイクルでの劣化を抑え、長期的な寿命を最適化することが期待されます。
- 過充電からの保護:バッテリーを80%までしか充電しないことで、過充電からくるストレスを軽減し、バッテリーの安全性を向上させます。リチウムイオン電池は特に過充電に弱いため、これは重要なポイントです。
- 急速な充放電の防止:バッテリーを80%までしか充電しない場合、急速な放電時にも残存エネルギーが多いため、バッテリーへの負担が軽減され、安定した性能が期待できます。
バッテリーの寿命を極限まで伸ばしたい場合は、上記特徴をよく理解した上で、充電上限80%を心がけるようにしましょう。