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キヤノンUSAがカメラおよびレンズ製品の価格改定を予定していることが、複数の報道で明らかになりました。主な情報源であるCanon Rumorsによると、価格の引き上げは1〜2週間以内(2025年4月下旬)に実施される可能性が高いとのこと。
この記事では、その背景と日本市場への影響を分かりやすく解説します。
価格改定の背景|米国の関税政策が引き金に
価格改定の大きな要因は、アメリカ政府による日本製品への24%関税の導入です。当初、関税は4月9日から適用予定とされていましたが、最新情報では適用は90日間延期されていると報じられています。
この関税が実施されれば、キヤノンUSAが日本から輸入するカメラやレンズに対して多大なコストが発生することになり、値上げは避けられない情勢です。
価格改定の内容:7〜8%の値上げ、全ラインナップ対象
Canon RumorsとCanon Price Watchによると、以下のような価格改定が見込まれています。
項目 | 内容 |
---|---|
実施時期 | 2025年4月21日または28日が有力(延期の可能性あり) |
上昇率 | 約7〜8% |
対象製品 | キヤノンのカメラ・レンズ全ラインナップ |
価格種別 | デーラープライス(販売店価格)とMSRP(希望小売価格)の両方 |
関連背景 | アメリカの対日関税政策、半導体コスト増、中国との摩擦など |
現在のところ、在庫としてすでに米国内に存在する製品は旧価格のまま販売される見込みです。
海外ユーザーの声:価格改定に対する反応
Canon Rumorsのコメント欄では、多くのユーザーが価格改定に対する懸念や意見を述べています。
- 中価格帯ユーザーの懸念:「R100が$400から$450になると、エントリーユーザーには大きな影響がある」との声があり、価格改定が中価格帯製品の購入意欲に影響を与える可能性が指摘されています。
- 高価格帯ユーザーの意見:「R5IIや70-200Zのような高価格帯製品では、$250〜500の値上げは大きな問題ではない」との意見もあり、価格改定の影響は製品の価格帯によって異なると考えられます。
- 経済的な影響:「インフレにより、すべての支出を慎重に考えなければならなくなった」とのコメントもあり、経済状況が消費者の購買行動に影響を与えていることがうかがえます。
日本市場への影響
現時点では、日本国内での価格改定の正式発表はありませんが、以下のような波及効果が考えられます。
- 並行輸入品の価格上昇:アメリカ市場での価格上昇に伴い、米国経由の並行輸入品が値上がりする可能性があります。
- グローバル価格調整:為替の変動や国際価格のバランス調整により、日本でも後追いで価格改定が行われる可能性があります。
- キヤノンジャパンの対応:公式に発表はされていませんが、世界的なコスト上昇に対応するために、日本でも今後価格見直しの可能性は十分にあります。
キヤノンのカメラや交換レンズの多くは日本で製造されているので大きな影響はなさそうですが、全世界レベルでみると影響は出てくると思うのでその波及で日本での価格が高くなる可能性はありますね。
補足:なぜキヤノンのカメラやレンズは日本で製造?

キヤノンの製品は、現在でも多くが日本国内で製造されています。これは世界的に見ても珍しい傾向で、特にミラーレス機(EOS Rシリーズ)やLレンズなどの高級機種・高性能レンズに関しては、日本の大分県・栃木県・福島県などの自社工場での製造が中心です。
では、なぜグローバル化が進み、人件費の安い海外生産が一般的となっている現在でも、キヤノンはあえて日本国内での製造にこだわっているのでしょうか?そこには、以下のような理由があります。
① 高品質・高精度な製品を維持するため
カメラやレンズのような光学精密機器は、ミクロン単位の精度と厳しい品質管理が求められます。キヤノンは「製品の信頼性・完成度の高さ」をブランド価値の柱と位置づけており、そのためには高度な技能を持つ熟練技術者と安定した製造環境が必要不可欠です。
日本国内では、その基盤となる製造技術・品質保証体制が整っており、“Made in Japan”ブランド=信頼性の証として、特にプロフェッショナル向け製品においては強みを発揮します。
② 設計部門との距離が近く、開発~生産がスムーズ
キヤノンは本社(東京都大田区)を中心に、設計・研究開発拠点と主要な製造拠点(栃木、福島、大分など)を国内に集約しています。これにより、設計・試作・量産の各プロセスを密接に連携させやすく、製品開発スピードと精度の向上に寄与しています。
とくにレンズやミラーレスボディの開発では、設計と製造のすり合わせが重要になるため、この地理的・組織的な“近さ”は大きなアドバンテージです。
③ 技術の流出防止と知的財産の保護
高級レンズの設計図や製造ノウハウは、キヤノンにとって最大の資産のひとつです。日本国内で製造することで、重要な製造技術や部品構成が海外へ漏洩するリスクを抑えやすくなるという意図もあります。
とくにRFマウントの技術はキヤノンが競合他社に対して強い優位性を持つ分野であり、技術流出による模倣品の登場を防ぐ意味でも、国内生産の重要性は高いといえます。
④ ブランド価値の維持とプロユーザーからの信頼
「Made in Japan」は、世界中のカメラファンやプロカメラマンにとって、高品質の証として認識されています。特にLレンズなどでは、海外製のものと日本製のものをあえて選ぶユーザーも少なくありません。
このブランド価値を維持するためにも、主要製品を日本で生産し続けることがマーケティング上の強みにもなっているのです。
補足:一部は海外生産も
もちろん、キヤノンのすべての製品が日本製というわけではありません。エントリーモデルや周辺機器の一部は、コストを重視して台湾・中国・マレーシア・タイなどの海外工場で製造されています。しかしながら、主力製品・フラッグシップモデルは今なお日本製。この「選択と集中」によって、キヤノンは高品質とコストバランスを両立させているのです。
キヤノン日本製造まとめ
キヤノンがカメラ・レンズの国内生産にこだわる理由は、単なる愛国心や過去の慣習ではなく、品質・開発力・知財保護・ブランド戦略すべてに直結する合理的な判断に基づいています。
それゆえ、アメリカの関税政策がこの日本製製品に影響する構造は極めて深刻で、価格改定の背景にも大きく関わっているのです。
今後のチェックポイント
- 関税の最終的な適用スケジュール
- キヤノンUSAからの公式発表
- キヤノンジャパンの価格改定動向
- 並行輸入業者や販売店の値動き
正直、トランプ政権による関税政策って、最初は場当たり的でめちゃくちゃな印象がありましたが、今回のような動きを見ていると、じつはかなり戦略的に練られた作戦なんじゃないかと感じてます。製造拠点や輸出構造にまで影響を与えるような施策で、結果的に日本製品、特にキヤノンのような「日本で作ることに意味がある」ブランドにも大きな圧力をかけてきているわけです。
こうした政治的・経済的な動きは、私たち一般消費者には一見関係ないように思えるかもしれませんが、実際は価格や流通、タイミングに直結しています。カメラやレンズのような高額製品は特にそうで、わずか数%の価格改定でも数万円単位の差が出てくることもあります。
今後、カメラやレンズの購入を検討している方は、単に「欲しいから買う」という感覚だけでなく、こうした国際情勢やメーカーの戦略、関税政策の影響などにもアンテナを張っておくことが、結果的に賢い買い物につながります。
何となく買い時を逃して後悔するよりも、こういう情報にしっかり敏感になっておくことが、これからのカメラ選びではますます大事になってきそうです。