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2025年、トランプ政権が再び中国製品への関税強化を打ち出したことで、Apple製品の価格や流通に大きな影響が出る可能性が報じられました。特にiPhoneやMac、iPadなどは中国での製造比率が高く、関税の適用如何で価格が大幅に変動するリスクを抱えています。
この記事では、Appleと関税問題の関係を、アメリカの政策、中国依存の実情、そして日本での影響までを含めて詳しく解説します。
トランプ政権による関税強化とその影響
2025年初頭、トランプ政権は中国からの輸入品に対して最大145%の関税をかける方針を発表しました。対象にはスマートフォンやPC、半導体などが含まれ、Appleの主力製品はこの影響を大きく受けると予想されていました。
実際に関税が課された場合、Appleは製品価格を17〜18%引き上げる必要があるという試算もあり、iPhoneが最大3,500ドル(約50万円超)に達する可能性すら示唆されていました。
Appleの製造多様化戦略とその限界
Appleは2019年頃から脱・中国依存の動きを進めており、インドでのiPhone生産、ベトナムでのAirPodsやApple Watch製造、マレーシアでのMac生産など、サプライチェーンの分散を図ってきました。
しかし、新たにインドやベトナムなどからの製品にも10%の関税が課せられる可能性が出たことで、この戦略にも限界が見え始めました。多様化は進んでいるものの、中国以外の拠点も完全な安全地帯ではなくなりつつあります。
なぜAppleは今でも中国で製造を続けるのか?ティム・クックの説明
Appleが長年にわたり中国で製品の大部分を製造している背景には、単なる「コストの安さ」だけでは語れない、より深い戦略的な理由があります。2025年4月、Appleのティム・クックCEOが中国を訪問した際、その理由について改めて明言しました。
クック氏は「中国には他国にはない製造スケールと熟練の労働力がある」と述べ、特に精密機器の大量生産を短期間でこなせる人材と体制が整っていることを強調しました。中国のサプライチェーンは単に巨大なだけでなく、極めて高度に訓練された労働者が豊富に存在し、同じレベルの熟練度を持つ大規模な人材を他国で確保するのは非常に困難だというのです。
さらに、Apple製品は設計から製造までの過程において、0.01mm単位の精密さが求められる場面が多く、こうした超高精度の技術に対応できる工場や作業者が集中しているのが中国です。このスケールと精度、スピード感が揃っている環境は、現時点では中国以外に代替が効かないというのが実情です。
こうした事情から、Appleはインドやベトナムなど他国への製造拠点分散を進めながらも、主力製品の中核部分は依然として中国に依存しています。つまり、「中国から脱却すべき」という米国内の政治的圧力と、「現実的な製造能力」の間で、Appleは非常に難しいバランスを取っているのです。
この構造的な事情を理解すると、たとえ関税政策がどれだけ揺れ動いても、Appleがすぐに中国から完全に撤退するのは現実的ではないことが分かります。ティム・クックの説明は、表面上の価格や政治リスクだけでは語れない、サプライチェーンの「現場のリアル」を示しています。
関税免除の発表とその背景
2025年4月11日、米国税関・国境保護局(CBP)は一部の電子機器に関して関税免除措置を発表しました。対象には、スマートフォン、PC、モニター、フラッシュメモリ、DRAM、SSD、HDDなどが含まれ、Appleの主力製品のほとんどが免除対象となりました。
さらにこの措置は遡及的に適用され、4月5日以降にアメリカ国内に入った製品にまでさかのぼって適用されるため、Appleは急激な価格上昇を回避することができました。
ホワイトハウスはこの措置について「米国企業が製造拠点を米国内に移すための猶予期間」と説明しており、恒久的な免除ではなく、将来的な撤廃も視野に入れているとしています。
トランプ発言による一時的混乱
関税免除が発表された直後、トランプ大統領が「技術製品への関税免除はない」と発言したことで、市場に一時的な混乱が生じました。しかし、米国税関の公式通知が出ていることから、現時点では免除は有効とされており、Appleもこの前提で出荷と販売を継続しています。
ただし、7月に予定されている相互関税の見直しにより、再び状況が変わる可能性もあるため、Appleは製造・物流面での再調整を迫られています。
日本市場への影響はあるのか?
ここまでアメリカの政策とAppleの対応について解説してきましたが、日本の消費者として気になるのは「日本でのApple製品の価格はどうなるのか」という点でしょう。
結論から言うと、2025年4月時点では日本独自の対中関税強化措置は行われておらず、Apple製品への直接的な関税影響は見られません。
ただし、Appleが全世界で価格改定を行う場合(例えばアメリカでのコスト増を吸収するためにグローバルで価格を調整する場合)、日本でも販売価格が連動して引き上げられる可能性は否定できません。
また、日本市場向けの製品が今後インドやベトナム製に切り替わった場合、物流・為替・生産コストによって価格に微妙な差異が出てくる可能性もあります。
したがって、今すぐに価格が跳ね上がる心配はありませんが、円安や世界的な価格調整の動きによっては、2025年後半に価格改定があるかもしれないという目線は持っておくと良いでしょう。
まとめ:関税は回避されたが、Appleの試練は続く
2025年4月時点では、Appleはスマートフォンやコンピューターなどの主力製品に対する関税を回避できたため、iPhoneやMacなどの価格は急騰せずに済んでいます。
しかし、これはあくまで「一時的な免除」であり、米国政府は将来的な国内製造を強く求めており、Appleはそれに応えるかたちで戦略の再構築を迫られています。
日本の消費者としては、しばらくは落ち着いた価格でApple製品を購入できる可能性が高いものの、世界情勢や為替、市場戦略によっては今後の価格動向に注視が必要です。
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