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はじめに──“LではないF1.2”という衝撃
Canonが放った最新の大口径標準レンズ、RF45mm F1.2 STM。F1.2というスペックは本来Lレンズ専用の領域ですが、このレンズは非Lレンズ。
しかもキヤノンオンラインショップ価格は税込66,000円という衝撃の価格設定です。
それでいて注目を浴びている理由は、RF45mm F1.2 STMのMTF特性図が、EFレンズの中でも癖はあるけどたまに信じられないぐらいの描写を叩き出すことで有名だったEF50mm F1.2L USMに酷似していること。
この記事では、MTF特性図から読み取れる“レンズの性格”を掘り下げ、RF45mmがどんな思想で作られたのかを解き明かしてみます。
MTF特性図の基礎:10本/mmと30本/mmの意味
MTF(Modulation Transfer Function)は、レンズの「描写の正確さ」を示すグラフです。
- 10本/mm(黒線):低周波。被写体の大きな明暗差=コントラスト(立体感・抜け)。
- 30本/mm(青線):高周波。細部のディテール=解像力(シャープさ)。
実線(サジタル)と点線(メリジオナル)の差が小さいほど、非点収差が少なく、ボケがなめらかで自然な描写になります。
縦軸は、レンズが被写体の明暗差(コントラスト)をどれだけ正確に再現できるかを示します。値は 0〜1.0 の範囲で、1.0 に近いほどコントラスト再現が完璧、つまり「ぼやけず、はっきりと写る」ということです。
横軸は、画面の中心から周辺までの距離を示します。単位はミリメートル(mm)で、「0」が画面中央、「20」付近がフルサイズの端(周辺部)です。
以下の画像は、RF45mm F1.2 STM、EF50mm F1.2L USM、RF50mm F1.2 L USM、それぞれのMTF特性図の比較画像です。

新旧 F1.2レンズのMTF特性図の比較
RF45mmのMTFを見ると、中央は非常に高いコントラストを維持しつつ、周辺に向かって10本/mmがなだらかに下降しています。
これは「性能の低下」ではなく、意図的にボケを優先した設計。中心の解像感を保ちつつ、周辺をわずかに柔らかくすることで、ボケが自然に背景へ溶け込む“味のある描写”を生み出します。
実線と点線の差も小さく、二線ボケが出にくい。つまり、「開放で気持ちよく使えるレンズ」ということです。
一方で、RF50mm F1.2 L USMのMTFは圧倒的。開放から中心・周辺ともに30本/mmが高く、解像とコントラストを両立。
実際の使用でも、ピント面のキレはまるでレーザーのようで、背景は極めてとろける。
Lレンズらしい“硬と軟の両立”があり、プロユースとしても神がかった完成度を誇ります。まさに「神MTF」と呼ぶにふさわしいレンズです。
かつてのEF50Lは、開放でパープルやグリーンのフリンジが顕著でした。それでも、あの独特の柔らかさと立体感で多くの人を魅了した“味レンズ”の代表格。
RF45mmは、そのEF50Lのキャラクターを現代的にリファイン。色収差は軽減され、AFはSTMによって静かで滑らか。それでいて、わずかな滲みを残した描写は「懐かしさと新しさの共存」といえます。
言うなれば、“EF50Lを令和に蘇らせたF1.2”です。
MTFが語るメッセージ:完璧ではない“美しさ”
MTFを見れば、RF45mmの線はLレンズよりも落ちています。しかしその落ち方こそが、このレンズの魅力です。Canonはこのレンズで「完璧な描写」よりも「心を動かす描写」を選んだのは明らかです。
実際にRF45mmで撮影された写真や映像の作例を見ると、開放ではコントラストがやや低く、柔らかいトーンが印象的。まるでホワイトミストフィルターを軽くかけたような優しい描写で、オールドレンズを思わせる空気感すら感じられます。この“ほんの少しの甘さ”が、デジタルらしい硬さを和らげ、写真に人間的な温かみを与えてくれるのです。
66,000円という価格でこの描写を手に入れられるのは驚異的。おそらく実売価格は6万円を切るでしょう。まさに、“非LなのにLを感じる”新しいスタンダード。
完璧すぎない曲線が、写真に深みを生み出す。それこそが、MTF特性図から見えてくるRF45mm F1.2 STMの美しさです。
驚くほど売れまくるレンズになるでしょう。
発売日と購入リンク
2025年11月11日(火)AM10:00より予約受付開始予定です。発売は2025年11月下旬を予定しています。
価格や在庫は変動するため、購入前に各ショップで最新情報を確認するのがおすすめです。
キヤノンオンラインショップ(公式):公式サイトで詳細をチェックする
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