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売れてないものほど広告を出す。
逆を言えば、売りたいから広告を出す、ということ。広告業界に10年以上いるのでそこらへんの常識は分かってますが、ここ最近のApple WatchのCMがいたたまれない。やっぱり売れてないのかと思ってしまう。
新しいCM4本を見て、Apple Watchの未来がいかに暗いか、分かってしまいました。
売れていないApple Watch
なぜ売れてないと思ったのかというと、理由はこのグラフ。
出典:It looks like Apple Watch sales are tanking | Business Insider(追記:リンク切れ)
この売れ行きはひどい。
アメリカでは発売日に35,000台売れたApple Watchが、7月2日には5,000台に落ち込んでいるらしい。Appleからの正式な発表がないので確実な情報ではないですが、正直、僕の周りでもほとんどApple Watchをつけてる人は見かけない。先日、昔の同僚(30代男性 Hくん)がつけてたのを見たぐらい。ファッションに敏感であるはずの女性で、つけてる人を見たことは…皆無です。
新しいCM4本 そのターゲットは?
売れていないという状況を仮定したとして、Appleは一体どういう人にApple Watchを売りたいのか、ターゲットにしているのか。それはCMを見れば一目瞭然です。CMの中で実際にApple Watchを使っている人=ターゲットですね。今回の新しいCM4本に出演しているのは、
「Closer」・・・30〜40代のお父さんお母さん。60代のおばあちゃん。
「Beijing」「Berlin」・・・20代の女性。
「Goals」・・・20〜30代の男女。
今回の4本のCMのうち特に目立つのが20代の女性。「Beijing」「Berlin」では、それぞれ20代の女性2人が旅行に行ってApple Watchを使いこなすシーンが描かれてます。「Goals」でも20代の女性がランニングしてますね。これらから、Appleは20代の女性にApple Watchを売りたい、売り込みたいことがよーくわかります。
ターゲットへの訴求内容は?
じゃあ、その女性にどういう訴求をしているのかというと…「Beijing」「Berlin」各CMの内容を見てみます。
異国での買い物時に通貨を計算、マップを使って待ち合わせ(ビックリさせる)、SOS!、翻訳して現地の人とお話し、いろんなものを食べ過ぎてお腹壊して病院探し・・・
と、いろんなシーンが描かれてます。
一つ一つを見てみると、なんとなく便利そうな気がしますが、実際は、
これってApple Watchじゃなくてもできる
ことだよなと。
はっきり言ってほぼiPhoneでできます。これは訴求が非常に弱いです。これ見ただけでApple Watchを買おう!と思う20代女性っていないでしょ。
Apple Watchの優位性
ただ、1つだけ、Apple Watchの優位性が描かれてるシーンがありました。「Beijing」の23秒あたりに出てくる「SOS」のシーン。これはiPhoneじゃできません。クラブなどの騒然としたところでは、ポケットの中に入れているiPhoneでは全く気付きません。仮にバイブレーションにしててもなかなか気づきにくい。その点、手首につけているApple Watchでは振動で通知されるので伝わる確率が非常に高いんです。
このほか、Apple Watchについてまとめてるので、気になる方はこちらをどうぞ。
ぶっちゃけApple Watchってどうなの?購入前に知っておきたい9つの項目
Apple Watchを売り出そうと思ったら、こういう、
iPhoneにはできない、Apple Watchにしかできないこと
を強く打ち出した内容にしないと、爆発的なヒットにはならないのかなと。
例えば、こんな比較CMの内容がパッとイメージできます。2人の出演者のうちのひとり。その人に緊急の電話がかかってくるが、iPhoneはバッグの中に。しかもバイブレーションにしてる。持ち主は全く着信に気づかない。もうひとりの出演者はApple Watchをつけてる。iPhoneはバッグの中。着信が鳴るが、Apple Watchですぐに電話に出られる、という内容。
このままじゃ、Apple Watchの未来は暗い
細かい部分は抜きにして、これだとApple Watchの優位性は十分に伝わりますが、こういう説明的な要素が入ったCMはあまりヒットしません。Appleもおそらく嫌いな部類のCMだと思います。そもそもシンプルじゃありません。
上記のぶっちゃけApple Watchでも書きましたが、正直ね、Apple Watchの買うべき要素が少なすぎるんですよね。そこが大問題です。だからCMの内容も薄くなる→全く売れない→忘れ去られる、という結末を想像してしまう。
ウェアラブル市場に後から参入してきたApple Watch。初めは売れたかもしれませんが、Apple WatchがApple Watchじゃなきゃいけない理由、Apple Watchにしかできないこと、しかも、ターゲットが全く想像していなかった使い方、を示すことができなければ、Apple Watchの未来は暗いでしょう。